2017.06.19
多方面で反響を呼んでいる東大ゼミ「ストリートと社会」第5回講義が6/7(水)に終了。
第5回は、コアなヒップホップカルチャーの真ん中で世界中を飛び回り、最近ではフィリピンのスラムで子どもたちをヒップホップで更生させる活動を行う一方、2018年のブエノスアイレスユースオリンピックにおけるブレイキン(ブレイクダンス)競技の運営も担っているBboy Katsu1が登場。
「カルチャーか、スポーツか」と題して、迫り来るスポーツ化の波とコアカルチャーとの共存をテーマに激アツな授業を展開しました!
6月21日(水)の第6回は『カルチャーか、スポーツか(2)〜デジタル時代にエクストリームスポーツが持つ課題と可能性〜』と題して、株式会社電通より後藤陽一さんをお迎えして開催いたします!ゼミ詳細はこちらから。
〜〜〜
(スタッフレポート by Yossi)
第五回は、B-BOYであり、(株)IAMの代表でもあるKatsu1さんによる『カルチャーか、スポーツか(1)〜オリンピックとカルチャーは共存できるか〜』の講義がおこなわれた。
まず初めに、自分たちが何気なく使っている「HIPHOP」とは何なのかという問いを投げかけた上で、NYブロンクス地区のキッズがストリートで遊ぶ中でできていったダンスやブロックパーティーがNY中に広がって行った歴史を紹介し、HIPHOP創成期のレジェンド的DJであるアフリカ・バンバータらがそのパワーを広めていったことなどを解説した。
続いてHIPHOPの持つ特徴として、ゼロからイチを作り出す力を秘めていることをあげた上で、アングラカルチャーであるHIPHOPがAbemaの放送に進出したり、ブレイクダンスがユースオリンピック競技に選出されたのをうけて、アングラ的性質とメジャー的性質の共存は可能なのかどうかを議論した。
共存できる派の意見としては、メジャーで培ったノウハウなどがアングラシーンへと還元して相乗的にレベルを底上げしうるという点、シーンの外にいる大衆の理解を得られる点、カルチャーの根底にある文脈が伴っていれば共存はできるのではないかという点などが挙げられた。
共存できない派の意見としては、勝ち負けに基準を明確化した場合、新しい表現や手法が生まれた場合に制度が追いつかないのではないか、一つ一つのスキルをポイント化するのはクールなこととは思えない、などの意見がみられた。
Katsu1さんは、それらの意見を踏まえた上で、例えばオリンピック大会の舞台で踊るときのファッションにB-BOYスタイルを取り入れたり、独特のハンドサイン(首をかっ斬ったりFXXXサインを出すことなど)は許されるのかどうか、また音楽を流す以上著作権やバックDJの導入の是非を議論していかねばならないことなどの事例を語り、スポーツとしてのブレイクダンスとカルチャーとしてのブレイクダンスの歩み寄りを進めていくことの必要性と課題を論じた。
共存が難しい中、理想のために努力し続けることでシーンや下の世代に還元されていくこと、将来的にHIPHOPを経験した人間が医師や政治家、弁護士など社会的に大きな役割を果たす職業につき、制度側からシーンへと還元していくことが目標だと語るKatsu1さんの105分の講義からは、オリンピックと現場シーンを繋ぐ役割を担うBboyならではの決意と想いが感じられた。
〜〜〜
東大2017ゼミ「ストリートと社会」第5回講義『カルチャーか、スポーツか』by B-boy Katsu1(株式会社IAM代表)