2012.11.29
アメリカシーンの第一線で活躍をしてから故郷インドネシアへ戻り、世界中のBBOYたちをインスパイアしながら活動するBBOY Kreate。RAW SKOOLの海外無償派遣プログラム「RAW SKOOL MILESTONE」インドネシア編(10月、バリ島)でも、派遣されたBGIRL Chieriをとても親身にホストしてくれました。
今回はKreateの来日に際してショートインタビューを行いました。
様々な経験から生まれるポジティブなワードは、日本の若い世代はもちろん、大人の世代にとってもとても参考になるビジョンだと思います!
ショートの予定がちょっと長めのインタビュー、是非ご一読ください。
ー青春時代から2003年までをアメリカで過ごして、インドネシアに戻ってから、インドネシアのシーンで次世代に向けていろんなことをしているけど、何がKreateの活動の原動力になっているのかな。
2003年にインドネシアに戻ったとき、たくさん若手がいて、シーンは大きかったんだけど、みんなダンスしていなかったんだよね。トリックとか、パワームーブは上手だったし、それはすごくいいことなんだけど、トップロックもフットワークも知らなかった。2003年の当時だから、YouTubeもなかったし、みんな自分たちが持っていたVHSだけを観て練習してたんだよね。TRIBAL GEARとか、BBOY SUMMIT 99とか、Battle Of The Year 97、98、そのへんのビデオをコピーして観てたから、その子達が持ってたビデオにあるもの以外は何も知らなかった。その時インドネシアで一番上手かったのは、ニュージャージー帰りのBBOYだったんだけど、やっぱりカルチャーっていう面では理解がなかった。それが間違っているってわけじゃないんだけど、どうにかしないとなって思ったんだ。
それから、僕は当時TVでやっていたBBOYの大会で3年半ジャッジをして、インドネシアの色んな島や都市に行ったんだけど、インターネットが無かったから、毎回それぞれの若い子達みんなにタダで映像と曲をプレゼントしていたんだ。泊まったホテルにみんなを誘って、たくさん話をして、色んなことをシェアしていたよ。
今インドネシアのシーンはすごく良くなってるんだけど、みんな海外に行くお金がなかなかないから、インドネシアのみんながインドネシア国内で海外のゲストたちとバトルして実力を試せるように、「RAW MATERIALS」を開催しているんだ。ちょうどRAW SKOOLのプログラムでChieriが来てくれたようにね。
ーシーンを前進させるのってそんなに簡単じゃないよね。
そうだね、シーンを前進させるのは簡単なことじゃないし苦労するけど、インドネシアのみんななら出来ると思っている。ポテンシャルを感じるんだ。
たくさんの若手がどんどん実力をつけてきているけど、まだカルチャーへの造詣が足りないような感じはするね。インドネシアのBBOYたちはBBOYだけをやっているけど、僕がアメリカにいた頃は、みんなHIP HOPカルチャーを丸ごと学んでた感じだったよ。僕はDJはやらなかったけど、グラフィティをやっていたし。インドネシアの若いBBOYたちは、MCやグラフィティライターとあまり繋がろうとしていない感じだけど、僕はDJも含めて色んなアーティストと遊ぶし、つるんでるよ。でも、インドネシアのHIP HOPシーンはエレメントごとに分断されちゃってるのが現状で、MCはMC、DJはDJで固まってる。僕は個人的には色んな人と遊びたいと思ってるけどね。でも、ジャカルタのBBOYとその他のダンサーはすごく仲がいいよ。そうじゃない都市もあると思うけど、ジャカルタはBBOYと他のダンサーとの仲が良いんだ。一つのコミュニティだね。すごく良いと思ってるよ。
ージャカルタやインドネシアでのネクストステップはどんなことを考えているの?
次のステップは、個人的には大きなイベントのインドネシア版をやりたいと思っているよ。R16やDANCE@LIVE、Freestyle Sessionなんかやりたいな。インドネシアはアジアで唯一、そういうイベントが今まで一つもなかった国だから。スポンサーをつけるのが大変でね(笑)。ちょっと商業的かもしれないけど、若い子達が希望を持てるし、シーンには良いことだと思ってる。RAW MATERIALSがある限り、アンダーグラウンドなシーンとのバランスは取れるしね。
ーシンガポールのFelix(Radikal Forze)も同じような感じで、Radikal Forze Jamを毎年やっているよね。
そうだね。バランスは取らないとね。だからRAW MATERIALSは毎年やりたいなぁって思ってるよ。僕は3年くらい前まで、タイやベトナム、マレーシア、シンガポールとか、色んな国でジャッジして回っていたけど、それぞれの国のシーンを引っ張っているチームがきちんとあるんだ。インドネシアならEast Rider Crew、シンガポールならRadikal Forze、ベトナムならHalley Crew、マレーシアはCypherz Kingz、タイは99 Flavaって感じで、みんな国をまたいでお互いに繋がっているし、一緒に上がってきたチームだよ。みんな同じヴィジョンやセンスを持っているクルー達だ。そして年に1回、Radikal Forze Jamで再会するんだ。Felixの功績だよ。オーストラリアのみんなも毎年来ているよね。中国、韓国、香港や台湾のみんなはあまり英語を話さないからちょっと関係が薄いのが残念かな。
ー日本でのワークショップ(Fresh SoxのチームメイトであるBBOY Anijhaがオーガナイズ)はどうだった?
たくさん若い子たちが来てくれて本当に嬉しかったよ。僕はそんなに有名じゃないと思っていたし、こっちが勉強になったって感じだったよ。ワークショップをするときに、もうみんなが知ってて当たり前のことを教える人もいるし、有名な人だったりすると、受けている人たちがその人のムーブをやりたいっていう希望に合わせちゃったりするよね。でも、もうその人のムーブを知っているんなら、当たり前だけど、やりたい人はやっちゃうよね(笑)。僕は自分の動きを誰かがやっていたら、僕は正しいんだって思うようにしているよ。自分がその人をインスパイアしたんだからね。
Alien NessやKen SwiftやStormだったら基礎を教えるかもしれないけど、僕のワークショップは彼らから学んだことを教えたいんだ。だからみんなが僕の動きをまねしていても構わないよ。みんな、上の世代をまねして、ちょっと工夫をしてきたんだから。「それはオレのムーブだ!」って言い過ぎるのもちょっとね(笑)。自分が本当に良いムーブをしているなら、誰もパクったりはしないはずだからね。まぁでもパクられたとしたら、ドープなことをやっているって意味なんだけどね(笑)。
僕がBBOYINGを始めた15年くらい前には、いつもKamel(Boogie Brats)やXeno(Flipside Kings)、Megas(Boogie Brats)に何か教えて欲しいって思っていたよ。でも当時はワークショップなんて無かったし、教えて欲しかったら一緒にサイファーするか、コールアウトしてバトルするしか無かったよ。だから僕もRudy Goblin(Flipside Kings)やMegas、Ivanなんかとバトルしたし、負けても全然いいと思ってやっていたよ。Kamelにコテンパンにされたときだってハッピーだったよ(笑)。それが原動力になってまた頑張れたんだから。それがこのカルチャーだからね。それが伝統だよ。
でも最近は、みんなリスペクトも無しに年上の世代をコールアウトするようになっちゃった。そんなのクールじゃないよ。リスペクトしているなら握手しなよって思うな。学びたいなら、一緒にサイファーでバイブスをシェアするべきだよ。ただコールアウトするっていうのは意味がないと思うな。
あとは、90年代のHIP HOPでBreakinしたいなって思っているよ。Freestyle Sessionの1,2,3,4くらいまでかな。いつもカッコイイHIP HOPがかかっていたよね。あの感じが欲しいなと思っているよ。
ー日本のみんなにメッセージやコメントを。
今回はBBOYのイベントに行かなかったんだけど、昨日溝の口で練習したとき、みんなヤバかったし、良い方向でやっていると思ったよ。それぞれの国でああいう存在が必要だと思っているよ。ワークショップに来てくれた若い子達もみんな上手だった。僕はシルエットにかなりこだわるんだけど、GenやAmiはとても良いシルエットだったよ。本当にカッコイイ形で踊れるなら、エアーフレアーとかする必要はないし、それがアーティスティックなBBOYだよ。
あと、僕が始めたときには、Rock Steady Crew JapanやSpartanic Rockers、Waseda Breakersなんかに影響を受けたんだけど、今はYouTube世代で、みんな似たようなBBOYが多いんじゃないかな。Kid DavidやCasperに影響を受けたんだって分かる人が多いよ。でも日本はもっとユニークなアプローチが出来るハズだから、それがみたいなって思っているよ。楽しみにしているよ。Peace!