2014.06.09
社会で活躍する「カッコいい」オトナをリレー形式でご紹介し、次世代へのメッセージを発信する連載「RAW SKOOL ROLEMODELS」。
今回は、ROCK’N ROLL JAPANプロデューサー・湯川篤毅氏からのリレーでご紹介頂きました、流石組プロデューサー・代表取締役 村越義人氏です。振付業界の第一人者である南流石さんのブランディングやマーケティング、ダンスと連動する社会実験、国内外での0-100歳までを対象にしたダンスカルチャー創出など、「ストリート」とは異なるアプローチで、あの「くまモン」から、医学的な視点を取り入れた高齢者向けの「ココロからダンス」、乳幼児向けの「脳育ダンス」のプロデュースなど、マルチにご活躍されています。
今回のインタビューは、晴天のなか、村越さんにゆかりの深い青山周辺を歩きながら実施。なんともオシャレ!
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「僕は、自身にとっての様々な『ゆかりのある土地』が、人生に大きな影響を与えると思っています。例えば、僕の祖父は、この青山にオフィスがある、宣伝会議(旧、久保田宣伝研究所)という会社の創業者なんですが、今の僕の仕事に深く繋がりを感じています。僕が生まれる前に祖父はすでに亡くなっていたので、祖父の記憶は全く無いのですが、祖父が生きていた頃、物書きでもあったので、この辺りを物思いにふけりながら歩いていたのだろうと思っては、時代は違えど感覚的に祖父に引っ張られて生きている、そんな気がします。目には見えないんですけどね(笑)。
あと今大切にしている場所がもう1つ、岩手です。震災前の2009年からご縁があり、311以降、今でも、岩手の沿岸部を中心に高齢者向けのダンス「ココロからダンス」などのプロジェクトを続けています。土地のもつ力が僕の人生のターニングポイントを導いてくれた気がしています。」
ココロからダンスは36:30頃から!
被災地で展開するその「ココロからダンス」が、村越さんの想い描く「ダンスカルチャーの1歩先」に進むきっかけになったのだといいます。
「僕はエンターテイメント側の人間で、企画などからカルチャーを創出させる側ですが、見て楽しい!踊って楽しい!のその1歩先、あるいはさらにその奥のまだ見ぬ未開の領域へ進みたいとずっとずっと考えていました。そのきっかけを頂いたのが、岩手医大の故・高橋智先生監修でNHKと流石組で創り上げた「ココロからダンス」だと思っています。このダンスは、エンターテイメントの1歩先、エンターテイメント×医学です。もっと平たくたくいうと、芸術×学術と医学です。僕がやりたかった事、僕がこれからやらなければならない事として、明確に輪郭が見えた瞬間でした。たくさんの高齢者施設に通い、様々な病院の先生方のご意見をお聞きし、およそ2年がかりの作品創りでした。それを期に、日本から新たなダンスカルチャーを世界に向けて創出するという目的を、35歳の時に、ようやくやりたいこととして発見した感じです(笑)。
例えばですが、マイケル・ジャクソンのムーンウォークを知っているのは、先進国を中心に全世界70億人中10億人くらいだと耳にしたことがあります。この話を聞いたとき、僕は愕然としました。KING OF POPの必殺技を10億人しかしらないんだ、って。ならば10億人以上の方々へ向けて認知を広めるような新たなダンスカルチャーを、日本が現在国際的に置かれている立場を通して、我が島国の洗練されたエンターテイメントと学術と医学とが融合することにより、もしかしたら、このとてつもない壁を乗り越えることに繋がるのではないか、と思ったのです。」
日本だけでなく海外で多くの経験を続けている村越さんですが、若い頃の時間は『強烈な記憶』がとても大切だといいます。
「小さい頃の記憶は、豊かであればある程、人格形成に大きく影響すると思います。そうした『強烈な記憶』をどれだけ豊かに創れるか、ということがとても大切だと思います。ただ、子供たちへ向けての記憶創りは、大人のサジ加減ひとつで楽しいものにも、思い出したくもない嫌な記憶にもなり得ます。大人側はとても繊細な心配りが必要と思います。若い人たちには、個々の感受性を独自に磨き、人と人から生まれる刺激をてんこ盛りに受けて欲しいですね。記憶にリミッターはないですから(笑)。
僕自身、なぜ今ココロからダンスや311へ情熱が向いているかというと、15歳の頃、入院先で同じ部屋にいたおばあさんが、突然亡くなってしまったことだと思います。お互いに長期の入院で日夜を問わず色んな話を聞かせてくださいました。亡くなる前日の夜も懐かしい故郷のお話を事細かく僕に話しかけてくれていました。今でもその夜の話は一語一句強烈な記憶として脳裏に焼き付いています。翌朝ベットをみると息を引取られていました。僕は15歳で、生きていた人が簡単に突然いなくなる事を知ったんですね。これは25年経った今でも昨日のことのように思い出しては、自分を引っ張る『強烈な記憶』のひとつです。」
最後に、村越さんから、若い世代へのメッセージです。
「『意図的な時間の使い方、目的をもった旅』をたくさんしておいた方がいいと思います。世代や国境言語を問わず、様々な人との出逢いや別れ、ふれあいや会話は強烈な思い出になると思います。
若い時期は、見ざる言わざる聞かざるの真逆で、とにかく人をよく見て、自分の思いを言っては、人の思いをよく聞く、です。50年後に語れる、意図的な『強烈な記憶』創りを、是非たくさんして下さい!」
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いつもは一時間弱のインタビューですが、今回は3時間以上お時間を頂戴致しました。コンテンツ作りからアウトプットのビジネスモデル作りまで、我々もものすごく勉強になる強烈なインタビューになりました。
今回の村越さん、「アニキ」という言葉がしっくりくるカッコいい先輩でした! 次回は、東京外へと飛び出してしまう予定です!是非、お楽しみに!
流石組ウェブサイト
http://www.sasugagumi.com/
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