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週末はサッカーの審判員!クリエイティブな次世代育成の共通点とは|須原清貴氏(キンコーズ・ジャパン社長)|RAW SKOOL ROLEMODELS 003

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 社会で活躍する「カッコいい」オトナをリレー形式でご紹介し、次世代へのメッセージを発信する連載「RAW SKOOL ROLEMODELS」。
 前回、バーニーズジャパン代表取締役社長・上田谷真一氏からのリレーを受け継いでの第3回目は、キンコーズ・ジャパン代表取締役社長・須原清貴氏です。
 住友商事、ボストン・コンサルティング・グループからGABAのCOOを経て、2009年より現職に。第一線で活躍するビジネスマンでありながら、週末となれば、日本サッカー協会(JFA)登録の2級審判員としてもご活躍されています。全国に23万人いるレフェリーの中でも1.5%しかいない上級審判員を務め、ルールブックの翻訳・改訂にも携わるなどご活躍されています。

「ワークライフバランスってありますよね。仕事が8で、プライベート(趣味)が2とか、7:3だとかよく聞きます。僕は、10:10じゃダメなの?と最近思いますね(笑)。1日24時間というのは、世界すべての人に与えられた共通のリソースですから。楽しみたいと思っています。今では日本サッカー協会の一員として、日本サッカーをこれから先もっと良いモノにしたいし、サッカーのコミュニティがもっと大きくなって欲しいし、もっと楽しめるものにしたいと考えています。
 今、JFAではU-12だけに使う、グリーンカードというものがあります。フェアプレーに対して「ありがとう」という意味で出すカード。これは、子ども達も嬉しいし、お母さん達も喜ぶ。選手が何のストレスも感じずプレーに集中出来る場を作ることがレフェリーの役割だと思っています。審判員がグリーンカードをもっと使いながら、レッドカードやイエローカードを使わなくても、選手が互いに敬意をもってプレーする、そんな環境を提供することが理想です。」

 インタビュー直前の週末も、U-18の試合でレフェリーを務めた須原氏。つねに多くの青少年とコミュニケーションを取る機会がある氏に、子ども達の育成とビジネスとの関連について、独自の考え方をうかがいました。

「会社経営でも人材育成が大切ですが、子どもの育成と共通する事があると考えています。
 上に立つ者や指導者は、社員や子どもの能力そのものを根本的に『高める』事は不可能だと思っていますが、それでも出来る事が2つだけある。1つは、力や能力を上げる可能性がある場所や機会を提供する事。気づきを与えるという事ですね。もう1つは、力を上げる邪魔をしないという事です。組織(会社や学校)というものは、メンバーのモチベーションを下げる事が天才的に上手い(笑)。経営者として、自分の会社や自分の行為がそうならないよう、常に意識しています。
 あとは、教え過ぎはよくないですね。常に、教えて欲しい!足りない!という状況にしておく事が大事だと思います。そうすれば、吸収率がぐんと上がりますから。
 サッカーでいうと、2流3流のコーチほど、従順な子どもが好きなんですね。自分が良いコーチである気にさせてくれるからです。けれど、そういう子は伸びない。言われてもいったん自分で考える子や、あまり聞かずにひたすらボールを蹴っている子のほうが伸びます。
 とかく指導者の役割は、気づきを与えて、あとは反復する環境を提供する。能力は伸ばせないけど、引き出すことは出来ます。これが大切です。」

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 須原氏は、苦戦を強いられていたキンコーズ・ジャパンをわずか1年あまりで、しかも米国本社からは限定された支援のみで黒字化させたことで有名ですが、仕事やサッカーに共通した、クリエイティビティについての考え方もユニークです。

「最後はクリエイティビティですね。すごく大事な要素の1つだと思います。ただ、これだけは教えられないんですね(笑)。例えば、アルゼンチン代表でバルセロナ所属のメッシ選手。視線の使い方、相手の引きつけ方、ボールの蹴るタイミング等、すべてがクリエイティブです。ひとりのファンとして、子どもと一緒に見て楽しむ事は出来ますが、彼のプレーは教えられない。子どもがクリエイティブなプレーに挑戦すれば、十中八九失敗します。その時に、失敗したことを細かく指摘するのではなく、クリエイティビティにチャレンジした意図を理解し、気づいてあげる。そして一緒に改善点を見つけ、改善の方法を模索する事は出来ると思っています。これは指導者の大切な役割だと思います。
 そして、クリエイティブになるには、基礎が大切です。これは仕事でもそう。基礎を身に着ける作業は、時につまらないですが、基礎がないと何もできない(笑)。例えば大前研一さんが20年以上前に仰っていましたが、ビジネスパーソンに求められる基本言語は、会計・IT・英語。これは時代を超えて普遍な基礎です。このような基礎があってはじめて、色々な分野、例えばマーケティングなどでも、クリエイティブなアイディアを出せる。音楽で言えば、アメリカのロックミュージシャンはクラシック音楽をしっかり学んだアーティストが意外と多い。クラシックには、基礎の構成や旋律がつまっているからです。」

 サッカーのレフェリーという側面と、第一線のビジネスマンという側面がリンクし、刺激的な相互作用が生まれていることに、なんだかワクワクしてしまいます。最後に、若い世代へメッセージを頂きました。

「サッカーの審判員を始めてから、ビジネスと多くの共通点があることに気づきました。正しい情報を得て、判断し、適切なタイミングでそれを伝える。私が社長としてやっていることと、全く一緒なんですね。すごく視野が広がりました。
 最初にも言いましたが、ワークライフバランスがあるとすれば、10:10でいいんじゃないかと思います。みなさんも、色んなことにチャレンジして、ぜひ視野を広げて下さい。1つの事にとらわれないで、沢山勉強して、沢山の人に出会って、見て、話を聞いて下さい。色々なモノはリンクしています。色んな事を経験して下さい。
 そしてもし、海外に出て行くことがあれば、何より大切なことは、日本のことを知っているということです。宗教や政治的なことまで、全部『自分の言葉』で話せるようになって下さい。日本人であるという事を武器に、世界で頑張って欲しいですね。」

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