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【世界三連覇】The Floorriorzが語る世界と未来(上)— 世界の舞台でみせた異質の”スタンス”

1990年から続く、ブレイキン(ブレイクダンス)で最も歴史あるビッグタイトル「Battle Of The Year(BOTY)」。日本人が約15年間手の届かなかったこのタイトルを2015年に初めて獲得した日本のBboyクルー「The Floorriorz(ザ・フローリアーズ)」が、先日行われた2017年大会で三連覇という世界初の偉業を成し遂げました。

ブレイキンに限らず、DJやBMX、スケボーに至るまで、「ストリート」の最前線で日本人が活躍していますが、世界三連覇は特筆すべき偉業。The Flooriorzはいかにしてチームの進化を遂げ、世界の頂点に君臨し続けられているのでしょうか?

「ルーティンって、本来は隠し玉じゃないですか」

—BOTYで世界三連覇という偉業の達成おめでとうございます。初制覇、二連覇と経験してきて、今年3回目の挑戦ということで、どのような意味合いがありましたか。

Taisuke 前回はアカデミー(※次世代育成のためのThe Floorriorz Academy)の子たちのためにも出なきゃいけないという思いがありましたが、今回はもともと出たいっていうメンバーは少なかったんですよ。もともと俺は出るって言っていたんですけど、連覇したしもういいんじゃないかっていうメンバーも、もちろんいました。
でも、アカデミー一期生であり新メンバーのRamが出たいって言う話になり、かつルーティン無しのソロだけでバトルするなら面白いかもしれない、っていう流れで、だんだんと人が集まっていった感じですね。
すべては、アカデミーの子たちの分まで背負ってるっていうのが、他のチームとの違いなのかな。モーコン(※同じく日本代表だったMortal Combat)も同じだと思うけど、次世代を背負ってる分、気持ちが大きかったかなと思いますね。少なからず、(Ramをはじめとした)下が先輩を引っ張ってきたみたいなところはあるんですよね。

Nori 「ソロでいこう」だけでも、出ようってならなかったと思いますね。やっぱりRamがいなかったら出ていなかった。ソロでやることと、Ramと出ること、この2つの要因があったから、全メンバーで3回目の挑戦をすることにつながったんです。

—世界最大のBOTYの舞台で、昨今タクティクスとして主流のルーティンを封印し、ほぼソロのラウンドのみで優勝したことは大きな話題になりました。

Taisuke 一人ひとりのプレッシャーは半端ないですけど、今回の俺らみたいに、いかにバトルを楽しめるかっていうのはチームによって全然違うと思いましたね。

Steez うん、楽しかったよね。

Nori かつてUK(UK B-Boy Championships)の日本大会で、ルーティン無しで優勝し経験があったんですけど、ぶっちゃけ俺も勝てると思ってなかったですね(笑)。でも準決勝を5-0で勝ったときに、イケるんじゃね?っていう不思議な感覚は感じました。

Tatsuroski 俺は決勝終わった瞬間、負けたんじゃないかって思ったよ。

Steez とにかくリズムが良かったよね、バトルのフロウを切らなかった感じ。

Taisuke 原点に返るこういうやり方もありだよねってところを見せられたのが良かったですね。自分たちがやりたいことができればそれでいいっていう。世の中に対してそのスタンスを見せたいっていう気持ち、それに対してついてきた結果だった。勝てば時代は動くんだろうし、負けたらまだルーティンの時代は続いていただろうし。

Wata 俺たちのやりたいコトがハッキリしすぎてるっていう強さはあったと思いますね。腹のくくり方がちげえっていう感覚。

Taisuke 二連覇があったからこそですよね。勝ったからこそ原点に戻るっていうところに意味があったと思いますね。

Nori 世の中がノールーティンになってほしいとは思っていないですけど、ちょっと見直してもらえるキッカケになれればと。

Taisuke BOTY以外でもそうですよね。例えばアメリカってルーティンは上手くないですけど、バラバラの個性が噛み合ってかっけえなっていう部分を持っていて、そういう部分が戻ってくるといいなって。ルーティンって本来は隠し玉じゃないですか。昔のBOTYだって、BboyのクルーにPopperやLockerが一人いて、カマすみたいな。それも隠し玉の醍醐味ですよね。

—来年のBOTYに向けてのプランはまだ白紙ですか。

Taisuke 来年のBOTYは下の子たちが目指したいかどうかですかね。海外のオーガナイザーやBboyからは、二連覇まではおめでとうで終わっていたけど、もう出る必要ないんじゃない?っていう声が大きいですね。来年はとりあえずあの会場には行けたらいいなっていうのはありますね。ゲストショーでもいいし、違うカタチでBOTYに関わってみることをやってみれたらいいな、と。

「バトルを知るには、Bboyのバトルを一度観て欲しい」

—他のダンスジャンルやストリートジャンルの人からすると、世界で三連覇しているThe Floorriorzって気になる存在だと思いますよ。強いなって。

Taisuke やっぱり、俺たちのブレイキンっていうのはバトルから生まれた文化じゃないですか。他のジャンルはパーティやパフォーマンスがルーツだったりするわけで。バトルカルチャーじゃないジャンルがバトルしている違和感っていうのは正直あって、そういう人たちにはいったんBboyのバトルを観て欲しいなって思いますね。Bboyのサイファーを覗いてもらったらそれも見えると思うし。
俺達はショーが目的じゃないし、バトルするためにショーしますから(笑)。だから、かつてブレイキンをやっていたり、Bboyのカルチャーを知っている上の世代の人達は、どのジャンルでもバトルに強いんですよ。

—そういうコアな面を大切にする一方で、TaisukeやKatsuyaの他のジャンルや表現方法、アーティストとの関わり方も幅広い。The Floorriorzはそのレンジの広さが面白いですよね。

Katsuya 結局は全部ダンスじゃないですか。昔の人たちは、ジャンルも何も分からずに見よう見まねで”ブレイクダンス”っていうくくりしかなかったですから、”ブレイクダンス”という言葉の中に色んなジャンルが入っていて、全部踊っていたことに結果としてなったわけで。

Taisuke 俺とKatsuyaの地元(九州)の地域性もあると思いますね。九州の先輩って、Bboyもダンサーだから、っていう感覚がすごくあるし、そう教えられてきた。それに対してBboyはBboyだ、っていう感覚の人ももちろんいるし、それはそれで面白いですよね。

続きを読む:【世界三連覇】The Floorriorzが語る世界と未来(下)— 次世代の育成とチームの”奇跡”


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