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【世界三連覇】The Floorriorzが語る世界と未来(下)— 次世代の育成とチームの”奇跡”

1990年から続く、ブレイキン(ブレイクダンス)で最も歴史あるビッグタイトル「Battle Of The Year(BOTY)」。日本人が約15年間手の届かなかったこのタイトルを2015年に初めて獲得した日本のBboyクルー「The Floorriorz(ザ・フローリアーズ)」が、先日行われた2017年大会で三連覇という世界初の偉業を成し遂げました。

ブレイキンに限らず、DJやBMX、スケボーに至るまで、「ストリート」の最前線で日本人が活躍していますが、世界三連覇は特筆すべき偉業。The Flooriorzはいかにしてチームの進化を遂げ、世界の頂点に君臨し続けられているのでしょうか?

「何か変化がないと、チームって難しいですよね」

—BOTYでも大活躍したRamはアカデミー(※次世代育成のためのThe Floorriorz Academy)の一期生ですが、次世代の育成に精力的なのも、The Floorriorzの特筆すべき点だと思います。

Taisuke 何か変化がないと、チームって難しいですよね。当然、次のThe Floorriorzのメンバーをどうするかっていう話は出ているし、アカデミーの二期生もすでに育っています。今後はThe Floorrorzの下にもう一チーム、これはもともと俺たちが活動していたチーム名なんですがSuper Badっていうチームを復活させて、アカデミーの卒業生にどんどん活躍してもらおうと思っています。
アカデミーを卒業してからのモチベーションをもっと高めてあげられないかっていうのはずっと課題として思っていたんです。卒業生は一生の仲間には変わりがないですから、今後のことも考えてそうしていったほうがいいな、と。

—アカデミーが一年間だけのカリキュラムなのも、ユニークですよね。

Steez 一年しかできない、っていうのが、いい方に働いている部分は大きいと思いますね。

Taisuke これがもし3年間の学校だったら分からないですよね。たった1年でどう吸収できるかっていう。ダンスは当然吸収した上で、人間としてプラスアルファをどう学べるかっていう部分を大事にして欲しいですね。生徒にとって一年はかなり短く感じるんじゃないかな。

Nori 自分はダンスを教えている歴が長いぶん、教えられているときだけ上手くなるような人間にはなってほしくないなって思っています。アカデミーが終わっても自分で道を開けるように育てないといけない。しかもそれをさらに広げて、ダンスでこうだったから他のフィールドでもこうできるんじゃないか?って思える人間になってほしいですね。
来春から三期生がスタートしますが、一期生から数えるとトータルで100人近くになるんですよね。その卒業生たちが支え合うみたいなことが生まれたらと思うと、すごいエネルギーを感じますね。

Tatsuroski たとえ卒業してもずっと関係は続くし、縁の切れ目はないと思っています。

Taisuke BOTYで優勝したときも、一期生もみんな祝福のメッセージをくれるんですよ。

「全員が奇跡みたいなもんですよ、このチームは」

—現役の教員でもあるWataにとって、アカデミーでの経験と教員の現場がリンクしている部分はありますか。

Wata 自分は仕事の都合で時間を割けないことも少なくないんですけど、ここ(アカデミー)は学校とはまた違う風土の「教える場」ですよね。俺の言い方が響く子もいるけど、NoriやKentaraw、Tatsuroのような、よりストリートな教え方のほうが響く子もたくさんいます。それは教員としても勉強になることが多いですね。

—KentarawやWataはフルタイムで働いているということも、多くのアスリートやアーティストに可能性を見せている一面がありますよね。

Wata このチームだから出来ているっていうのはありますよね。圧倒的なメンバーがいるっていう信頼というか。

Kentraw このチームは、自分が気兼ねなく出来る場所だったから続けられているっていうのはありますね。もちろん会社や社長の理解あって、という面も大きいんですが。

Taisuke この2人は、自分でそう(仕事を続けていくことを)決めているんですよ。「俺は働きながらやる」って宣言して、それを自分で実行できたんですよね。

Nori Wataさんなんか、最初の1〜2年はマジで寝てないですからね(笑)。当時はチームの歴が浅かった分進むのに時間がかかっていたので週3〜4くらいで集まってて、朝4時まで練習して、そのまま仕事いくみたいな。

Wata 家に帰ってから、頑張って30分寝るみたいな(笑)。でも寝たら起きられないから、家でずっと立って生活していましたね。2012年くらいかな。The Floorriorzのスタンスとメンバーの理解に救われた部分は存分にあります。

Taisuke 実際練習量では(以前BOTYに挑戦したクルーである)All Areaのほうが全然してたんですよ。The Floorriorzは、アプローチは全く別だったけど一人ひとりが出来るっていう自信があったんですよね。今回に関しても、練習時間ってすごく短くて、それで三連覇出来た。改めてすごいチームなんだなっていうのを感じると同時に、そこまでやって優勝できなかったことも経験しているっていう強さもありますよね。全員が奇跡みたいなもんですよ、このチームは。

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