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夢は一つに絞らず、たくさん持とう。|山崎大地さん(国際宇宙サービス代表・民間宇宙飛行士)|RAWSKOOL ROLEMODELS 014

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 社会で活躍する「カッコいい」オトナをリレー形式でご紹介し、ストリートで夢中になる次世代へのメッセージを発信する連載「RAW SKOOL ROLEMODELS」。

 14回目の今回は、前回のおもちゃコレクター・北原照久氏からのリレーでご紹介頂きました、民間宇宙飛行士の山崎大地さんです。

 NASAやJAXAなどで、国際宇宙ステーション「きぼう」の運用管制官を歴任。退職後、無重力体験サービスや宇宙に関する様々な事業、多くの講演・執筆活動をする傍ら、ヴァージン・ギャラクティック社等、海外の宇宙飛行企業と民間宇宙飛行士として契約するなど、バイタリティの塊のような山崎さん。
 宇宙飛行士というと、超エリートを想像しますが、山崎さんは「超」のつく、意外な経歴の持ち主。驚きが連続するインタビューになりました。

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◆クリエイティブな父の教育“無いものは自分で作れ”◆

「小さい時、アニメの宇宙戦艦ヤマトやガンダム、銀河鉄道999を見て、宇宙への憧れは漠然と持っていました。何よりも、星座を勉強した時にすごく面白くて、小学4年生の時に友達と「スカイウォッチングクラブ」という天文観測クラブを作って天体観測をしたのが始まりですね。10歳の時に作った天文クラブですが、会員証をワープロで打ち、写真も貼り付けてラミネート加工し、毎週末天体観測をして、会報誌を作る徹底ぶりでした。会員は2人でしたけどね(笑)。
 この時僕が持っていた天体望遠鏡は、天体望遠鏡と呼ぶには少し寂しいスーパーの福引きで当たった小さな望遠鏡でした。一緒にやっていた友人が新しい立派な天体望遠鏡を買ってもらったタイミングで、僕も父にお願いしました。その時言われたのが、「天体望遠鏡は買えないけど、自分で作るなら部品代は出してやる。」です(笑)。
 父はエンジニアなんですが、とにかく無いものは自分で作れ、という教えの人だったんです。幼稚園の頃入院たときなんて、乾電池や、豆電球、配線、ラジオペンチなんかをケーキの箱に入れて持ってきて、「これで懐中電灯を作ってみろ」でしたからね(笑)。
 そんなこんなで、天体望遠鏡も作る羽目になり、しくみを調べ、必要な部品を調べ、部品が売っている所を調べ、自分で作った天体望遠鏡で見た土星の感動が、僕の夢の原点なんです。その時、いつか絶対に土星に行ってやる!と決意しました。」

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◆「エリート」とは程遠い高校時代、そして航空工学の道へ◆

「小学生で星が好きになり、中学生でアメリカに行く機会があり、NASAの本物の宇宙船をみて、さらに宇宙への思いはエスカレートしていきました。将来は絶対宇宙関係の仕事に就くと決めていたんです。ただ、それだけ興味があって大好きになった宇宙でしたが、進学した高校はレベルが低くて、バイクやバンドなど、新しい楽しいモノを見つけては遊び呆けていましたね(笑)。学校自体、一般受験で大学に進学するなど夢のまた夢のような高校で、僕も進学する気など、一切ありませんでした。
 そんな高校時代を過ごしていた高校3年の春、進路相談面談で就職希望先を書かなくてはならなくなって、やっぱりよく考えると僕の原点はあの土星。「NASA」って書いて出しちゃったんです(笑)。小さく「掃除のおじさんでも可」って添えちゃいましたけどね(笑)。
 もちろん先生には、バカか!と(笑)。うちの高校からNASAなんてありえない、と言われました。でも、僕の頭の中はNASAなんです(笑)。この時カチーンときちゃって、絶対に大学で宇宙を勉強して、NASAに行ってやる!と思いました。
 調べると、日本では航空宇宙工学を専攻出来る大学が3つしかなくて、倍率が47倍。親を説得して、2浪した後に、大学に入学することが出来ました。」

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◆夢を引き寄せる、強烈な行動力◆

「苦労して入学した大学でしたが、そこでも車、バイク、自転車をいじって遊んでいました(笑)。ですが一応大学では宇宙の勉強を専門でしていますし、大学3年生の時に『アポロ13』を観て感動して、卒業後の就職先は「国際宇宙ステーションの運用管制官」で決めていました。
 勉強はそこそこに、筑波宇宙センターで行われるシンポジウムや、そこで働く人が集まるイベントには必ず足を運んで、『僕は宇宙ステーションの運用管制官になりたいです!』と、とにかく片っ端から熱く伝え続けていましたね(笑)。そして就職し3年目にしてついに、憧れのNASAで働く機会を得ることができたのです!
 アメリカで苦労したのは、英語で話すことです。小さい時から英語は得意だったので、管制室の中でのやりとりに問題はありませんでしたが、管制室から一歩出た後の普段の生活でのコミュニケーションがまったく上達しませんでした。大学受験勉強の弊害です。どうしても正しい英語を話さなきゃという固定概念に縛られ、逆に全然話せなくなってしまっていました。
 『これはヤバイ』と、僕が決意したのは、パイロット学校に通うことです。1つのミスが命取りになり、”なんとなく”の理解では許されない場所。勉強する量も膨大で、教官もマシンガントーク。究極に集中力な必要な状況に身を投じ、たった1ヶ月で信じられないくらい英語力を成長させることが出来ました。好きなことのためなら、苦労も乗り越えられる。自分を追い込むことも、時には必要ですね。」

◆山崎さんから、若い世代へのメッセージ◆

僕には、夢がいつも1000個くらいあるんですよ、夢のない人には100個ずつくらい分けてあげたいくらい(笑)。みんな、わざわざ1個に絞ろうとするから大変なんだと思います。初めから1000個あると思うと、順番なんてつけている暇はありません。1個1個消化するのに必死です。でもその分、常に達成感が得られて、自分の力にどんどん自信がついていきます。
 それから、僕は夢に大小、優劣があるとも思っていません。土星に行くという夢と、明日うなぎが食べたいという夢が、僕の中では同じレベルの夢なんです。そうすることで、どんな夢でも、叶った時に土星に行ったくらい喜べるんです。
 それに、よく成功者の方々が言うように、夢に順番やスケジュールをつけたりもしていません。夢はチャンスがやってくる順番に叶っていきます。ただ、そのチャンスというのは自分の思った通りにはやってきてくれません。なので、もし自分でスケジュールを決めてしまうと、その夢がスケジュール通りに叶わなかった時に、みんな夢を諦めてしまうんだと思います。だから僕は夢にスケジュールを付けないんです。すると思いがけない順番でどんどん夢が叶っていくようになります。
 そして、まだ叶っていない夢は保留しておきましょう。今は難しい夢でも、大人になると意外に叶えられるモノですよ。
 あと、いつも夢を持ったワクワクしている人たちに囲まれていることが大切です。ラッキーは必ずポジティブな人のところに集まってきます。」

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 もの凄いバックグラウンドを持ちながらも、話をすると普通のカッコイイお兄さん。しかし、「ここぞ!」という時の行動力は、やはり圧巻でした。
 次回のインタビューはどんな方にリレーされるのでしょうか。是非、お楽しみに!

山崎大地 オフィシャルサイト
http://tem794.wix.com/taichi-01
Taichiships

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