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クリエイティビティのカギは、文化や風土を学ぶこと | 松嶋啓介氏(Restaurant-I 総料理長)| RAW SKOOL ROLEMODELS 007

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社会で活躍する「カッコいい」オトナをリレー形式でご紹介し、次世代への熱いメッセージを発信する連載「RAW SKOOL ROLEMODELS」。

今回は、(株)リアル・フリート社長・熊本浩志氏からのリレーでご紹介頂きました、(株)アクセレール代表取締役 兼 渋谷区神宮前「Restaurant-I」総料理長の松嶋啓介氏です。同店のほか、8年連続でミシュランガイド1つ星を獲得しているフランス・ニースの「KEISUKE MATSUSHIMA」の経営も行い、2010年にはフランス芸術文化勲章を授与されるなど、現地で最も認められている日本人のシェフの一人です。ジョージアコーヒーのCMにて、キングカズこと三浦知良氏と「こだわり」の共演をされていることで、ご存知の方も多いかもしれません。
驚く程の行動力と、少年期からブレない芯を併せ持つ松嶋氏より、「料理」から繋がる熱いメッセージを頂きました。

「子どもの頃夢中になっていたのは、ひたすら喧嘩でしたね(笑)。地元・福岡をパトロールして・・・(笑)。ただ、その頃にはもう、フランスで料理をやろうと決めていました。母の勧めに加えて、父方の実家が農家でしたので、良い素材(野菜)と出会う機会多かったというのもありますね。母は、僕自身が、味覚に対して繊細だと気づいていたみたいです。」

周りの友人が漠然とした夢を持ち、夢が変わっていく中、松嶋氏は「フランス料理のシェフ」という夢がブレた事は一度もなかったとか。ただ、人生で一度だけの後悔があるそうです。 

「一途と言えば聞こえは良いですが、ただ単純にやり抜かない事はダサいと思っていました。そんな「反骨心」です。後戻り出来ないように、周りの友人にも伝えていましたし、小学校の卒業文集にも書きました。イチローや本田圭佑に負けないくらい、意気込みはありました(笑)。海外志向も高かったので、フランス料理をやると決めていましたし、フランスに行くのは当たり前だと思っていました。早く実家を出たかったのも、理由の1つですね。
ただ、僕は人生で1つだけ後悔している事があるんですね。高校はサッカーを本気でやる為に強豪校へ進学したんですが、3年生の時、先輩からは冬の選手権までやれば?と言われたにも関わらず、周りの仲間にも流されて冬の選手権のチームに残らず引退、、、。
周りに流されて最後までやり抜かなかった自分自身に、ものすごく悔いを残しました。単純にモヤモヤしましたね。それから、絶対に一生後悔しないで生きる!と決めました。」

Restaurant - I

高校卒業後、専門学校に進学した時期から、恐るべき行動力を発揮し、フランスへの道を自分自身で切り開きます。

「フランスに行く事は決めていたので、どうしたら良いか考えました。そこで出した答えが、「海外経験の長いシェフに話を聞こう!」ということ(笑)。料理人の採用面接は直接シェフやオーナーと話が出来きますから。面接や、話をする事はタダですからね(笑)。学生の頃から、フランスでの経験が豊富なシェフのもとでアルバイトから支配人までを経て、一人でフランスへ行きました。」

フランスでの経験や出会いは、松嶋氏の行動力が引き寄せた素晴らしいものでした。

「初めての旅行中、沢山のアクシデントやハプニングを経て、4件目のレストランでようやく長く働ける事になりました。そこで働くまで300通以上手書きで手紙を書き、その中の一つだったんですけど、実は長く働く事になったレストランは僕が行きたいレストランではなかったんです(笑)。ミシュラン1つ星のとあるお店に手紙を書いたと思っていたのですが、同じ名前が入っていた別のレストランに(笑)。ただ、そのお店は1つ星を獲得しているレストランのシェフの母親のお店だったんです。いわば1つ星のシェフの、田舎の「ママの味」。
けれどそれもちょうど良かった。僕は、ド田舎で働きたかったんです。日本人がいるとフランス語も上手くなりませんし、日本人が働いたことがないお店で、一から信頼を得たかったんです。」

松嶋氏がフランスで学んだ「クリエイティビティ」の礎には、「文化」や「風土」の理解が不可欠と説きます。

「僕は日本人ですので、フランス料理の中でフランス人の様な「クリエイティビティ」を生み出す事は不可能だと思っています。日本ではフランス料理の基礎は、綺麗にオムレツを巻く事だったり、綺麗に野菜を切る事だとされていますが、フランス人のフランス料理の基礎は、“どこ出身なのか?”です。例えば、マルセイユ出身の方であれば、お皿のどこかにマルセイユの香りがあるんです。
その時期は、その地方の歴史や文化を、できる限り勉強しました。その土地のフランス人はどの様な生活を送っているのかということの理解が大事だからです。出来るだけ多くの時間をフランス人スタッフと過ごしましたし、休日には同僚のお母さん料理を頂きました。
僕の考える「クリエイティビティ」は、料理の見た目や技術を学ぶ事ではなく、シェフがなぜこの料理を作りたかったのか、つまりその土地の文化や風土を理解し、学ぶ事だと考えています。だからこそ、理解もせず、見よう見まねで作っている、付け焼刃の様な料理からは「クリエイティビティ」は生まれません。どこの世界のアーティストでも同じだと思います。見た目や形や技術を学ぶのではなく、なぜこれをやりたいのか?という、内面的なエネルギーを爆発させる所に「クリエイティビティ」は存在すると思っています。」

Keisuke Matsushima

最後に、松嶋氏から若い世代に熱いメッセージを頂きました。

「僕自身が後悔したり、経験した事からしか言えませんが、自分の感情を大事にして下さい。
恋愛と同じ事です。好きな人に好きだ!と伝える事は自然ですが、恥ずかしくて言えなかったりすると、本当に後悔します。
もしも、迷ったり悩んだりするのであれば、それは本気の好きではありません。本当に好きな事がみつかる時は、迷わないはずです。本気になれる事はきっと見つかります。ぜひ、自分の感情に正直になってみて下さい。」

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フランス料理という世界を早くから志し、その名前を確実なものにしている松嶋氏、お話を聞いていてワクワクが止まりませんでした。
華やかに見えるフランス料理の礎が、その地方その土地の土着的な文化だったと見ぬいたあたりは、ご自身の感性が研ぎ澄まされていたがためだと思います。ストリートやアートにも通じるものがたくさんありますね。
次回はどんな方が登場するのか?是非、お楽しみに。

Restaurant-I ウェブサイト
http://www.restaurant-i.jp/

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